学校水泳 (5)

〜 背泳ぎのキック練習 1 〜

高橋大和
2009.08.20

 

背面浮きがおおよそ出来るようになったら、次のステップへと進む事になる。

背泳ぎのキックだ。

 

背面浮きがおおよそ出来るようになれば、もう泳げたも同然だ。

なぜなら、背面浮きのまま、ゆっくり足を上下に動かせばいくらでも泳げるからだ。

 

ただ、ここまでの背面浮きは、手が腰の横にあるため、泳ぐのに"より近い"姿勢を作るために背泳ぎのキックの練習に移る。

背泳ぎのキックの姿勢は、泳ぎの基本姿勢である「ストリームライン」に限りなく近い姿勢であるため、とても良い練習になる。

 

背泳ぎのキックでは、手を重ね頭の後ろで肘をしっかり絞り込む

肘を伸ばして、頭の後ろで絞り込む事が重要だ。

 

子供はまだ体がやわらかいので、頭の後ろで肘と肘が付くほど絞り込む事が出来るので、めいいっぱい、しっかり、肘を伸ばして両手を絞り込んでくっつける。

 

 

図 5-1

 

この「肘を絞り込む」作業は重要で、やってみれば分かるが、頭の後ろで肘を絞れば、胸を張るほうが自然で、逆に胸を丸める事の方が辛くなり、結果的に、「胸を張る」姿勢が強制される

 

ただ、背面浮きが「おおよそ」出来るようになったレベルの子は、まだ下半身をうまく浮かす事が出来ず、下半身の重みに引っ張られて、体全体(特に顔)が沈みがちになっている。

しかし、まだキックを打たせる必要はない。

まずは、背面浮きの姿勢のまま、手を上に上げて組んだ姿勢で浮く練習をする。

 

「進む事」よりも「姿勢」の方が重要だからだ。

正しい姿勢が作れてこそ、推進力が生かされる。

 

両手を上に上げたバージョンの背面浮きを作ったら、子供の手の平を掴んで引っ張ってやる(赤矢印)。

子供の顔に水がかからない程度にゆっくり引っ張ってあげる。

足の沈み具合が大きい子は、やや水中方向に引っ張ってあげると、下半身が引き上がってくる。

 

図 5-2

 

すると、水の抵抗により(水が足に当たり)、足が浮き上がって、結果、体全体が浮き上がり、呼吸もしやすくなる。

 

子供を加速させたら、引っ張っていた手を離しても、子供はそのまま水面に流がれていき、沈まない。

子供は「水の浮力」の扱い方を、体で覚える。

 

重要なのは、

「何もしていなくても浮けるんだ。手足を動かさなくても浮く事が出来るんだ。浮く事は簡単なんだ」

という事を体で感じる事だ。

 

可能な限り、

「浮いているのが気持ちいいなぁ。水は気持ちいいなぁ」

という感情を持たせるようにしてあげる。

 

この「体感を得る作業」を怠って、「25M泳ぐ」といった「進む事」に指導を移しても、運動音痴の子供が泳げるようにはならない。

「浮くのは簡単」という事を体感して、「水の扱い方」「水中での体の使い方」を体で覚える事は、泳げるようになるための必須条件なのだ。